2013年5月4日土曜日

経腸栄養剤の選び方ー経済的問題編

  本来患者さん本位で、いろんな意味でベストな選択をしたいものですが、病院が赤字になって一家離散となり、患者さんを診れなくなるようでは、元も子もありません。

 そういう意味では、お金の問題はどうしても避けて通れません。井上善文先生の「経腸栄養剤の種類と選択」(フジメディカル出版)からの引用です。

 

 医薬品を選択するか、食品を選択するかは、費用の問題で、医療保険制度に関連している。半消化態栄養剤で、医薬品に属するエンシュアリキッド、エンシュアH、ラコールなどと、食品に属する半消化態栄養剤との使い分けは、費用の問題がその判断基準になる場合も多い。

 

 入院中、経腸栄養剤単独で管理する場合には食品を用いる。これは、食事箋で処方することができるためであり、[食事の費用ー経腸栄養剤の費用]が病院の売り上げとなる。また、食事を処方している症例に対し、食品の経腸栄養剤を補食として処方すると、食事の材料費が余計にかかることになるため、売り上げが低下することになる。この場合には医薬品の経腸栄養剤のほうが有利である。

 

 上記をふまえて、S総合病院NSTからのお願いです。

 

  • 経腸栄養剤単独で使用する場合、特別な状況以外は、食品でオーダーをお願いします。
  • その場合、1日3食の食事を提供した場合の入院時食事療養費:640円×3食=1920円 でおさまる範囲が望ましいです。
  • 通常の食事に追加して、補食として食品の栄養剤を追加している場合、大量に飲み残しがないか、ときにチェックをお願いします(特にメイバランスミニ)。飲み残してる場合、本数を減らすか、NSTにご相談ください。

 

特にペプタメンAFは高額なので、可能であれば1日3パックにとどめ、それ以上使用したい場合は、安価な汎用栄養剤に切り替えが可能かどうか、今一度ご検討お願いします。

(オーダーがとっても高額になっている場合は、その都度お知らせしますね。)

 


★当院採用の高価な食品栄養剤 ベスト3 

 (1パック単位で個人購入価格を表示)

  1. ペプタメンAF 672円 1日3パックまでにとどめたいです。
  2. インスロー 588円 納入価の関係からは1日4パックまでOK。
  3. インパクト 472円 高リスク術前のみの使用に制限。


とはいっても、のっぴきならない事情があれば、患者さん本位の本数のオーダーで全く問題ありませんので、お気軽にご相談くださいネ。